なんというか、わくわくするようなタイトルだけど、どこまでも書物と文字と文学と、その周辺に固執するエッセー。
これが、始めて読む池澤夏樹のエッセーだったりしたら、たぶん、感動の嵐であったと思う。
同士がいた!という。
でも、彼のこういうところは、とっくに知っているから、また、書いてるぜ、という印象。
でも何度でも読んでやるぜ。
最後に掲載されているのは寄港地一覧。
つまり、彼が今まで読んできた日本文学世界文学古代文学現代文学あらゆる書物から「99冊」を選んだリスト。
村上春樹は「『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と接線のあげく」『羊をめぐる冒険』が選ばれる。
これはまだ未読だから、楽しみ。
読むのに苦心した『第4間氷期』が、安部公房の他の作品を排して入っている。
『嵐が丘』は、納得。
しかし、こうしてみると99冊のうちわたしが読んでいるのは10冊に満つかどうか。
「逃避であると言われるのならそれも認めよう。本を読むのは自ら活動することを避ける傍観者の行為と言いたければ言え。ぼくにとって文学は世界の広さを知るための道具であって、自分が立って生きる場所を改善するための機材や武器ではなかった。」
理屈っぽいし、まわりくどいし、大げさなところもあるけれど、きらりと光る「真実」が含まれているから全部許せる。